一般社団法人スマートプロセス学会

Smart Processing Society for Materials, Environment & Energy








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田中会長写真
 日頃はスマートプロセス学会の活動に対して、会員皆様のご高配・ご支援を賜り厚く御礼申し上げます。

 本会は1975年に発足しました高温学会(社団法人認定は1977年2月)を原点に、2012年に現在の名称に改組・改称され、本年で45年を迎えます。

 スマートプロセス学会の目的は、定款に謳われておりますとおり、「高温から低温ならびに重厚長大から軽薄短小に至る広範囲の製造および接合などにおける先進的および環境・エネルギーに配慮した革新的ものづくりプロセスに関わる学術・技術の普及と進歩発展に寄与すること」にあります。非常に幅広い科学技術分野をカバーすることになりますが、多様な人材と知の交差は科学技術の新機軸を生み出すために極めて効果的です。本会の強みは、幅広い科学技術分野をカバーしているがゆえ、異分野融合的な研究・開発を探求するとともに、そのために必要な人材を育成する土壌が自然と育まれているところにあります。ものづくりプロセスに関わる学問と異分野技術の交差、そして、それらの情報交換の場を提供し、もって未来に輝く豊かで安全なスマート社会に資することが本会の夢であります。

 本会の掲げる目的、そして夢は、科学技術の新機軸の創出を期待されている現代の潮流に乗っているものと確信しています。しかしながら、益々の発展と展開をはかるには継続的で弛まぬ改革の精神と努力が必要であります。会員の皆様には、本会の更なる発展のために、より一層のご支援とご高配を賜りますよう、心からお願い申し上げます。

2023年学会誌1月号掲載「學海」

  スマートプロセス学にエールを!
                                                          田中 学

 昨年、2022年には、本会も関わりの深い溶接・接合分野において、国際溶接学会IIW年次大会が18年ぶりに我が国へ招致され、東京お台場において国内外から約550名に及ぶ参加者が実際に来場し、オンライン参加者約270名を加えると総勢820名の参加者を迎えて盛大に開催された。第二次世界大戦後に設立したIIWにとっては、節目となる第75回年次大会であり、また、史上初のハイブリッド形式の開催にもなった。日本のおもてなしの心を尽くした運営と、2022国際ウエルディングショーとのコラボ開催が相乗効果となって、参加者からは非常に高い評価を得て、大成功を納めた。他方、本会が事務局を置く大阪大学に目を向けると、接合科学研究所、レーザー科学研究所、そして人間科学部が共に創立50周年の節目を迎えた。いずれも、1964年の東京オリンピックや1970年の大阪万博など、戦後の高度経済成長期における科学技術の進歩と文化的な発展を遂げた、日本の活力ある時代に設置されたものである。その後、バブル経済とその崩壊、グローバル化など社会の大きな潮流に揉まれながらも、人と人の繋がりと紡ぎ合いによって50年あるいは75年の歳月を越えて、研究者、技術者、学生など多様な人材が集い、力強く次の世代に受け継いでいく姿を垣間見たように思う。その中でも、人間科学部についてもう少し触れてみたい。我が国の大学に人間科学系学部が設置されたのは、大阪大学人間科学部が最初だったそうである。以来50年の間に、人間科学を冠にする学部が全国の国公私立大学で41大学に設置され、大きな発展を遂げた。一方、心理学や社会学はもとより、生理学や生物学、あるいは物理学や工学に至るまで幅広い学問分野に関わる人間科学は、今なお「人間科学とは?」と問い続けている学問でもあるそうである。人間という存在を究明しようとする、人類にとって根源的な学問であり、半世紀にわたって大きく発展してきた人間科学であるが、その学問体系化は未だ現在進行形であることに驚かされた。2022年12月に開催された大阪大学人間科学部創立50周年記念式典では、全国の国公私立大学の中で19大学の人間科学系学部長が一堂に集い、「人間科学サミット」と銘打ったイベントが執り行われた。そこで、人間科学が目指す未来に向けて「人間科学宣言」が参加大学部局一同の名で発出された。様々な学問分野で構成される人間科学が、すべての人間の尊厳と幸福に資するため、多様な人々と出会い、対話を重ねる場を重視し、学問知と社会に偏在する知との交差から新たな知を紡ぎ、新しい社会を創造することを目指したものである。

 さて、本会に視点を戻すと、本会の目的は、「高温から低温ならびに重厚長大から軽薄短小に至る広範囲の製造および接合などにおける先進的および環境・エネルギーに配慮した革新的ものづくりプロセスに関わる学術・技術の普及と進歩発展に寄与すること」である。非常に幅広い科学技術分野をカバーすることになるが故に、多様な人材と知の交差を必要とする。言い換えると、異分野融合的な研究・開発を探求することで、多様な人材を育成する土壌を有していると言える。1975年に高温学会として発足した本会は、今年、2023年で創設48年になる。カーボンニュートラル実現に向けて地球規模課題が山積みに残されている中、人類の健全で豊かな発展に資するため、節目となる半世紀を間近に控え、あらためて「スマートプロセス学とは?」を問い直し、前を向いて現在進行形で進んでいきたいと思う。今年、ラグビーワールドカップ2023がフランスで開催される。サッカーワールドカップ2022での日本代表が日本国民に夢と希望を与えてくれたように、ラグビーでも日本代表の活躍を期待せずにはいられない。そして、我々、スマートプロセス学会も、多様な人材や他の学協会とスクラムを組んで、ものづくりプロセスに関わる学問と異分野技術の交差、そして、それらの情報交換の場を提供し、夢と希望に溢れるスマート社会の実現に資するべく、力強い発展の一年になることを願っている。そして、スマートプロセス学の発展にエールを送りたい。 末筆ながら、会員の皆様にとって良い一年になりますよう心よりお祈り申し上げます。


一般社団法人 スマートプロセス学会事務局
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