一般社団法人スマートプロセス学会

Smart Processing Society for Materials, Environment & Energy








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田中会長写真
 日頃はスマートプロセス学会の活動に対して、会員皆様のご高配・ご支援を賜り厚く御礼申し上げます。

 本会は1975年に発足しました高温学会(社団法人認定は1977年2月)を原点に、2012年に現在の名称に改組・改称されました。

 スマートプロセス学会の目的は、定款に謳われておりますとおり、「高温から低温ならびに重厚長大から軽薄短小に至る広範囲の製造および接合などにおける先進的および環境・エネルギーに配慮した革新的ものづくりプロセスに関わる学術・技術の普及と進歩発展に寄与すること」にあります。非常に幅広い科学技術分野をカバーすることになりますが、多様な人材と知の交差は科学技術の新機軸を生み出すために極めて効果的です。本会の強みは、幅広い科学技術分野をカバーしているがゆえ、異分野融合的な研究・開発を探求するとともに、そのために必要な人材を育成する土壌が自然と育まれているところにあります。ものづくりプロセスに関わる学問と異分野技術の交差、そして、それらの情報交換の場を提供し、もって未来に輝く豊かで安全なスマート社会に資することが本会の夢であります。

 本会の掲げる目的、そして夢は、科学技術の新機軸の創出を期待されている現代の潮流に乗っているものと確信しています。しかしながら、益々の発展と展開をはかるには継続的で弛まぬ改革の精神と努力が必要であります。会員の皆様には、本会の更なる発展のために、より一層のご支援とご高配を賜りますよう、心からお願い申し上げます。

2024年学会誌1月号掲載「學海」

  過去から未来へ紡ぐ新しい交流のカタチ
                                                          田中 学

 昨年、2023年は新型コロナウイルス感染症が5類感染症に移行され、いろいろな場面で4年ぶりの再開という言葉を耳にし、パンデミックによって停滞していた学協会の活動が本格的に再起動した一年になった。一方で、持続可能な社会を築く上で、パンデミックは人類に様々な経験と学びを与えてくれたものと思う。例えば、人々の移動が制限された中、オンライン会議は日常のアイテムとなり、多様なデジタルプラットフォームやインターネット上での仮想空間が創られ、AIをはじめとしたデジタル化技術が大いに進展した。テクノロジーによって世界との繋がりがより身近になったものと思う。逆に、デジタルでないリアルな話題として、2023年はワールド・ベースボール・クラシックで侍ジャパンが優勝を果たした。苦しい展開の中、劇的な逆転サヨナラ勝ちでメキシコを下した一戦では、日本中が湧いた。平和の中で人と人がリアルに交流できる素晴らしさと美しさの象徴であったと思う。野球となれば、もう一つ。阪神タイガースが38年ぶりに日本一に輝いた。こちらは少なくとも、大阪・関西が大いに湧いた。

 その時代を象徴する一つとして、新語・流行語大賞がある。2023年は「アレ」が大賞となり、「生成AI」がトップテン入りを果たした。ちなみに、3年前の2020年では「オンライン○○」がトップテン入りを果たしている。生成AIはインターネット上の既存のビッグデータを基に文章や画像等を創作するが、それは人が書くものと遜色のないレベルに仕上がっている。著作権、倫理面や真偽性において大きな課題はあるものの、今後、人が生成AIを道具として適切に活用することにより、文化の発展に大いに資するものと考えられる。

 今年、2024年は、本会にとって関わり深い溶接・接合分野において、2024国際ウエルディングショーが4月に大阪で開催される。パンデミックを挟み、大阪での開催は8年ぶりとなる。「人・文化・技術をつなぐ溶接・接合、切断の新潮流」をテーマに、「高校生VR・AR溶接王」などの企画もあり、まさにリアルとデジタルが交差する「溶接文化」を体感できる展示会として期待される。

 さて、本会では「スマートプロセス」を看板に掲げ、非常に幅広い科学技術分野をカバーしている。本会は多様な人材と知の交差を生み出す場を提供し、異分野融合的な学術と技術を探求することで、革新的ものづくりプロセスの開発を通じて社会の発展に寄与することを目的にしている。1975年に高温学会として発足した本会は、来年、2025年で創設50周年を迎える。2025年と言えば、「いのち輝く未来社会のデザイン」をメインテーマにした2025年大阪・関西万博が開催される。日本での開催は20年ぶり、大阪での開催はEXPO’70以来の55年ぶりになる。周知のとおり、万博は世界中の人と文化が交差する場である。節目となる半世紀を来年に控え、本会も多様な人材が集う特色ある魅力を発信しながら、他者へのリスペクトはもちろん、過去と現在の知見やデータに対してもリスペクトし、ものづくりプロセスに関わる学問と異分野技術の交差、そして、それらのリアルとデジタルが融合する情報交換の場を提供することで、夢と希望に溢れる未来のスマート社会の実現に資するべく、学会の興隆を促す一年になることを願っている。

 末筆ながら、会員の皆様にとって良い一年になりますよう心よりお祈り申し上げます。


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